体育の授業や習いごとにとどまらず、スポーツ選手をめざして真剣にスポーツに取り組んでいるお子さまの場合、将来的にセルフマネジメントがさらに大切となります。継続的に激しいスポーツをすることによりさまざまな症状がからだに表れてきます。しかし、月経周期のチェックはもちろん、周期ごとの体調の変化を把握することで、それに合ったトレーニングや調整方法を考えられるようになります。

からだのバランスを整えるには?

人間は食事などから得られるエネルギー摂取と消費のバランスで活動できています。

食事から摂るエネルギー - 運動で消費するエネルギー = 代謝や生活で使用する利用可能エネルギー

エネルギーのバランスが崩れ、基礎代謝や日常生活に使用できる利用可能エネルギーが不足した状態が続くと、ホルモン分泌量が低下したり、からだのさまざまな機能に影響をおよぼすといわれています。では、バランスが崩れたときはどんな症状が出るのでしょうか。

バランスが失われたときに考えられる症状

  • 利用可能なエネルギーが不足する状態が続くと、「無月経」や「骨粗しょう症」のリスクが増加します。疲労骨折などからだに影響を及ぼす可能性がありますので、考えられる症状について理解を深めておきましょう。

    利用可能なエネルギー→運動性無月経→骨粗しょう症

  • ★無月経

    無月経とは月経が来なくなることです。それまで定期的にあった月経が3ヶ月以上こなくなった状態を続発性無月経といい、そのうち運動が原因と考えられるものを「運動性無月経」といいます。利用可能エネルギー不足やストレス、体重・体脂肪の減少、ホルモン環境の変化が主な理由として考えられます。

    また女性ホルモンは骨の代謝にも関係しているため、無月経になることで骨量が減少し、骨粗しょう症を引き起こす原因にもなります。そして、骨粗しょう症になると疲労骨折をする可能性が高くなります。骨密度の年間増加率が大きい11~14歳という時期に、正常な月経周期と高い骨量・骨密度を維持することが大切です。

  • ★月経異常

    月経の正常周期は、だいたい25~38日のサイクルです。ところが、39日以上も間があく稀発月経や24日以内できてしまう頻発月経など、月経異常が起こることがあります。原因としては無月経の原因と同じことが考えられます。特に、体重が軽い方が有利なスポーツや、美しさを競う新体操やバレエなどの審美系スポーツなどをやっている場合は、無理なダイエットによるエネルギー不足が大きな原因となることがありますので、バランスのとれた食事を心がけてください。

    月経異常を判断するには月経周期を記録しておくことが大切です。

  • ★月経痛

    月経痛はスポーツに関係なく起こるものですが、スポーツをしていると直接コンディションに影響してしまうことも少なくありません。体を冷やさないように工夫したり、ストレッチなどででからだをほぐして月経痛を軽減するだけでなく、鎮痛剤を飲むことを選択肢としてもいいでしょう。市販薬を飲む場合は正しい飲み方を守りつつ、痛みが出てからでなく、月経周期からわかる「そろそろ痛くなるころだな」というときに飲むといった、効果的な方法をとるといいですね。市販薬では効果が感じられないなど不安を感じる場合は、病院を受診して医師に相談してみましょう。

    からだを温める、血流を良くするなどを心がけましょう。それでもつらい場合は鎮痛剤も選択肢に。

★こちらもチェック!

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スポーツをしている人は、していない人に比べて体重が低い傾向にあり、また精神的に緊張状態が続くこともあって月経トラブルが起きやすいかもしれません。ただし、この時期の月経トラブルはからだの成長に影響を及ぼすケースが多いため、必要な栄養がとれる食事や規則正しい生活などを維持できるよう、お子さまをサポートしましょう。

おうちの方が正しい知識を知っておくと、お子さまのサポートがよりしやすくなります。

おうちの方がお子さまのスポーツをサポートするときにどんなことに気をつけたらいいのか、サッカー代表の帯同経験がある国立スポーツ科学センター(JISS)土肥美智子先生にお話を聞きました。

土肥美智子先生からのメッセージ

プロフィール

国立スポーツ科学センター メディカルセンター スポーツクリニック 副主任研究員
 
千葉大学医学部卒業、医学博士。2年間のフランス留学、東京慈恵医科大学放射線科などを経て現在に至る。北京オリンピック、 ロンドンオリンピック、リオデジャネイロオリンピックの選手団帯同メディカルスタッフとしても活躍。

月経ってどんなもの?
知ることが不安をなくす一歩です

月経周期は、スポーツを行う女性のコンディションに少なからず関係しています。1ヶ月のサイクルは月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4つに分かれますが、そのうち不調を感じる人が多いのは月経前に当たる黄体期と、月経が来ている月経期。これらの時期に特有の症状が原因で、集中力やからだのコントロール能力が低下したり、お腹の痛みで通常どおりに動作できなくなったりする場合があります。

不調が出やすいとはいえ、この時期に必ずしもスポーツを避ける必要はありません。ただ、不調のなかで無理をしていると思わぬケガを招く可能性があるので、お子さんの様子を注意深く見てあげてください。

月経に伴う体の不調は、スポーツを楽しみたいお子さんにとって、少し心配な要素かもしれません。しかし、自分のからだときちんと向き合うことは、不安を解消するためにとても大切なことです。また、体調に合わせた対処法をお子さんが自ら判断できるようになる、学びのキッカケにもなります。
「これは何日間かで治まること」「月経前は不調になることがある」というようなことをお子さん自身が知っておくだけでも、月経への不安を緩和する一歩になるでしょう。

月経は、子どもを産む準備として起こる大きな現象。そして女性自身のからだにとって、とても大切なものなんだということを知っておいてほしいです。月経は女性ホルモンの分泌と密接な関わりを持っています。つまり、“月経が正常であること”の前提として、“女性ホルモンがきちんと分泌されていること”が非常に大切なのです。

この女性ホルモンは、女性らしいからだ作りだけでなく、骨の代謝などを促す働きを持っています。また、不足すれば血管が硬くなる原因にもなりえます。このように、からだの現象に幅広く関わっている女性ホルモンは、生涯にわたって付き合っていく大切なものですし、スポーツを続けていく上で、からだ作りに不可欠な存在です。 残念ながら、月経やホルモンバランスについては学校などで教わる機会が少ないので、お子さんが正しい知識を得られるよう、家庭でフォローすることを心がけてください。

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